少年サンデー』の巨匠、高橋留美子伝説

高橋先生の作品の魅力について、言及されています(協力:ヤマ)

『少年サンデー』の巨匠、高橋留美子伝説(2011年05月31日 19:00)
 http://cobs.jp/jijinews/trend/2011/05/post_616.htmlmixiニュース05月31日19:14 http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=95&id=1620814

少年マンガ界にさんぜんと輝く星、高橋留美子さん。1978年のデビュー以来、30年以上もの間、週刊マンガ誌『少年サンデー』に連載を続けているスーパー作家だ。

 高橋留美子さんの特徴として挙げられるのは、経歴の長さに比べて作品数が少ない事。その理由は、連載作品が必ずといっていいほどヒット作になり、長期連載されるから。そこで今回は高橋留美子さんの作品を検証しながら、その魅力を探ってみたい。
連載デビュー作『うる星やつら』が大ヒット
 20代の男女657名に「最も好きな高橋留美子の作品は?」という事で実施した※アンケートによれば、24.1%が『うる星やつら』を選択。高橋さんの連載デビュー作となったこの作品は週刊連載が7年も続き(1978年〜1979年まではよみきりおよび不定期・月間連載。本格的な週刊連載は1980年から)、テレビアニメ化のほか劇場版アニメも6本製作された。

 この人気連載とほぼ同じ期間、青年マンガ誌で『めぞん一刻』を連載していた事にも驚かされる。しかも、この作品もアニメ化、映画化、実写映画化、ドラマ化されるほどの大ヒットを飛ばした。

 また、『うる星やつら』と同時期に『少年サンデー』で連載されていた人気作が、あだち充さんの『タッチ』である。1980年〜87年の『うる星やつら』の週刊連載とかぶる、81年〜86年の作品だ。この2作品の功績もあり、1983年に『少年サンデー』は史上最高の発行部数228万部を記録した。

 ちなみに、『タッチ』には高橋留美子さんのサインが登場するエピソードがある。ボクシング部で活躍していた上杉達也を野球部に転部させるため、野球部主将がボクシング部主将に“賄賂(わいろ)”として贈ったのが高橋さんのサインだった。高橋留美子さんはめったにサインをしないことで知られており、彼女のサイン色紙はまさに“お宝”なのだ。

支持率No.1の『らんま1/2
 前出のアンケートで34.2%の人から「最も好き」と支持された作品は『らんま1/2』。『うる星やつら』の連載終了後、1987年から1996年まで続き、全38巻のコミックスが国内で5,300万部以上も売り上げた高橋作品のベストヒット作である。

 水にぬれると女になってしまう乱馬、同じく水をかぶるとパンダになる父・玄馬、親が勝手に決めた婚約者のあかねたちが繰り広げるドタバタ格闘コメディーだ。異星人のラムちゃんをはじめとした鬼族、雪女、化け猫などが登場する『うる星やつら』のテイストを引き継いだギャグマンガとして大ヒットを記録した。

シリアスな『犬夜叉』も続けてヒット
 “らんま”の連載が終了した後に始まったのが、それまでのコメディータッチの作風とは異なるシリアス路線の『犬夜叉』だった。戦国時代を舞台に繰り広げられる人間と妖怪の戦いは、ラブコメの面白さとは違う感動を読者に与えてくれた。ギャグ要素がまったくないシリアス作品として、これが高橋さんにとって初の週刊連載である。読み切りや不定期連載でシリアスな作品に挑戦し、読者の反応を確かめた後、満を持しての発表となったのだろう。

 結果、『犬夜叉』は1996年から2008年まで、12年に及んで連載され高橋さんにとっての最長作品となる。発行部数では“らんま”にかなわなかったものの、初連載作品『うる星やつら』で受賞した小学館漫画賞を再び受賞できたのは『犬夜叉』だった。

 『犬夜叉』連載終了後に始まったのが、現在『少年サンデー』で連載中の『境界のRINNE』である。こちらも、『うる星やつら』、『らんま1/2』と同じく、高橋さんが得意とするコメディー作品だ。

 ここまで見てきたように、不定期連載や短期連載を除くと高橋さんの連載作品は5作品のみ。そのうち4作品が『少年サンデー』で週刊連載されていたもの。人気がなければ短い期間で打ち切りになってしまう週刊少年マンガの中で、デビュー以来ずっと長期連載を続けているのは驚異的である。今後、“るーみっくわーるど”がどこまで広がり続けるのか、これからも目が離せない。

文●塩澤真樹(C-side)

※引用アンケート
調査時期:2011年3月24日〜4月1日
調査対象:COBS ONLINE会員
調査数:男女657名
調査方法:インターネットログイン式アンケート